好きにさせて





中学生。それは大きな変化をわたしたちに与えた。



わたしの知らないコトハがいるような気がした。わたしの知らない所でわたしの知らない人たちとわたしの知らないことをコトハはする。


それが何なのか、わたしは今でもよく分かってない。


だけど、ある日。知らないお姉さんがわたしの前からコトハを連れて行ったんだ。



怖かった、今度こそコトハがわたしの隣から居なくなるんじゃないかって。変な焦りがその時、わたしを支配した。


また、前みたいにコトハにわたしだけを見ててって言おう、うん大丈夫だよ、そう自分に言い聞かせて迎えたのは中学2年生の時のバレンタインだった。



………この年のバレンタインは思い出したくない。

わたしがコトハの家にチョコ作りにおしかけたってのはいつもと変わらないんだけども。



今となっては、今さらなはなし。



わたしは伏せていた目を上げて、缶を握る手の力を少し緩めた。





どーすっかなぁ、バレンタイン。


彼氏もいなけりゃ、好きな人もいない。とりあえず、大量に友チョコでも今日買って帰るか。




「……っ!冷たっ、どうせなら温かいの飲みたかったわ…」



しじみの味噌汁はとっくに冷めきっていて、ストーブで火照った顔にはちょうどいいけど、これ絶対温かいほうが美味しいな。





< 23 / 43 >

この作品をシェア

pagetop