好きにさせて
ファミリー用のバリューパックのチョコ菓子をわたしは近くの机に並べ置く。
「はい、ハッピーバレンタイン」
どっさりと置かれたそれらは多分こいつら女子ならみんな食い尽くすだろう。
「うわ〜、さくらこれ全校生徒に配れちゃうよたぶん」
「いや、おまえらが食い尽くす。そしてふとれ後悔しろ」
「なんで!?嫌がらせなの!?」
「さくらっち、鬼畜〜」
「本命渡す相手がいないからってウチらで発散しないでぇ〜」
「あ〜もう、ふとりたくないよ〜誰が食べるかぁ~」
おまえらもう手付けてんじゃん。
文句いいながらバリバリ袋開けてんじゃん。
「やば!何これうまっ!クッキー?」
「なになに〜?新発売のやつ〜?」
楽しそうにお菓子会みたいになってるし。まあ、いいか。
昨日の学校の帰りにコトハを連れ回して買い占めたお菓子だ。チョコを買うと言うよりはお菓子を買うって感じになったけどね、誤魔化すみたいに。
コトハにはクラスの女子に頼まれたと言っておいた。
「て〜か、バレンタインは日曜日っしょ〜さくらなんで今日持ってきたの〜」
「いや、わたし日曜日学校来ないから」
口の中がなくなってから喋れ。
「はぁ〜!?何言ってんの〜」
「みんなも昨日言ってたじゃん」
金曜日にするか、月曜日にするかって。
「いやいやいや〜、さくらっちみんな日曜日学校来るよぉ~」
「知らんがな」
聞いてねぇよ。
「部活動生は日曜あるし〜、日曜の校舎開放許可出たよ〜」
「てかウチらが先生に言ったんだけどね〜!あはは!」
「てことで、バレンタインイベ!学校でやっちゃうよ~的な?いぇ〜い!」
「………わたし行かねぇよ」
なんで先生たちこいつらの言うこと許可しちゃったんだ……。
「ダメだよぉ〜さくらちゃんには佐倉 琴波くんを学校に連れて来て貰うんだから〜」
「幼なじみやらせてあげてるんだからそれくらいしろよ!」
おまえは何様だ。
コトハは多分…来ないだろうな。あいつ部活入ってないし、バレンタインが日曜日で感謝してそうだ。
バレンタインデーにコトハが女子たちの前に現れたら大変なことになってしまうのは目に見えている。
わたしはチョコ菓子に食いつく女子から目線をそらし、カバンをぎゅっと抱えた。
バカだな、わたし。
バレンタインなんか嫌いだし、
チョコだって見たくもないはずだ。
だけど、このバレンタインが女の子にあと一歩の勇気をくれると言うのなら、わたしに力をかして欲しい。
元彼のいる部活が日曜日にもあるのは知っていた。