好きにさせて





「コトハぁ〜、茶」


そうコトハに言えばコトハはわたしのゆのみにお茶を注いでくれる。


今日は日曜で、金曜の夜からコトハはわたしの家に居座っている。

昨日、徹夜でゲームに夢中になっていたわたしたちは朝方眠り昼過ぎの今、目覚めた。


わたしの家は休日でもほとんど誰も居ないのでリビングでのんびり過ごす。ちなみにお母さんは寝室にこもっている。



「咲来、顔やばい」


「うっさい」



そんな言うならわたしを見るな。
寝起きでもちろんノーメイクなんだからこうもなるだろ。

本当、羨ましいよ。
顔の整った幼なじみが。


まだ重たいまぶたを持ち上げて、コトハを見るとこいつも寝起きのはずなのになぁと思う。寝起きからかっこいいってずるいでしょ、慣れたけど。


残念ながら、コトハの姿はわたしには何の胸の高鳴りも与えない。ダメね、イケメンを見慣れると。


わたしはお茶をひと飲みして、顔を洗うべく立ち上がる。歯も磨こう。


休日って素晴らしい、化粧に時間を奪われることがないから。
いや…うん、今だからだ。最近、休日に外出する予定はなくなってしまった。


コトハとこんなだらだらした休日を送るのなんか数年ぶりだ。




あー、何も考えたくない。


リビングを出る手前で振り返り、テレビのチャンネルを変えるコトハを見ると嫌でも思い出す。


そのふわふわな金髪が漆黒の黒をしていた頃を。





今日は待ちに待たないバレンタインデーだ。




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