好きにさせて
洗面所から出てリビングに戻ると、コトハはソファに寝そべり漫画を読んでいた。
「………」
声かけようかと思ったけど、やめた。
2階へ上がり自分の部屋へ入りケータイを取り、見てみる。
…電源切れてるし。
充電するのも面倒なのでそこら辺に放っておく。時計を見て、悩む。
金曜日、家に帰った時にカバンにあるはずのものがなくなっていることには気付いていた。確実にあいつらの仕業だ。
勝手に人のカバンを見るとは人間を疑うが、わたしもよく人のカバンの中を勝手に漁ったりするので何も言うまい。
だけど、さすがにこれは困った。あいつらは何がしたいんだ。
コトハに、自分に誤魔化すようにあんな大量にお菓子を買ってまで“あれ”を買ってしまったわたしもわたしだ。
わたしは何がしたいんだ。
もう、終わったことなのに。
どうせ、今回だって、昔みたいになる。
わたしのバレンタインはそうなんだ。
そんなこと最初から分かってる。
日曜の部活動は3時までだ。私の家から学校まで1時間はかかる。
今から行けばギリギリ間に合う。
「……っ、もう」
違う、違うからね。ただ、取りに行くだけだから。取り返しに行くだけだから。
わたしは制服に袖を通した。