好きにさせて
着替えて、頭にはフードを被せ、顔は伊達メガネとマスクで覆う。完全不審者っぽいが髪を巻き化粧をする余裕はないんだ。
リビングへ下りると、そこにはコトハの姿はなくお母さんがキッチンで何やらしている。
「ちょっと外出てくる」
わたしの声はお母さんに向けたものだがお母さんから返事はなく、まあいっかとわたしはリビングを出た。
コトハがどこに行ったが知らんが別に良かろう。すぐ戻るつもりだし。
…今日はジャージを履いたので外出た瞬間、鳥肌が立つことはなかった。
やべぇ。思ったよりだせぇ。電車に揺られながら窓にうつる自分の姿を見て思う。女子力の言葉のカケラさえ見つかんねぇ。
職質されないだけマシだった。
学校につくと平日の学校同様、賑わっている。
…今すぐ身なりに手抜いてきた自分を殺してやりたい。あーだる。
「あ〜!!!!!」
渡り廊下を歩く途中で、声をあげられたのでビクッと体が反応する。
わたし…?わたしだよな?わたしをに向けて声をあげられたんだよな?
声がした方を見ると案の定、女子の集団だ。わたしと同じクラスの女子の集団がいる。
「あ〜やばい!ジャージ!羨ましいんですけどぉ〜」
「まじでぇ〜?わぁ〜ずりぃ〜」
「………」
いやさ、あのさ。わたしを囲って暖かそうな格好を羨ましがるのはいいけどさ。
「おめーらわたしだって気付け」
これわたしじゃなかったらビビってるよ。何事かと思うよ。
「へ?は?ん?もしかして!」
「もしかしてもしかしてぇ〜」
「「「さくらの劣化バージョン??」」」
おいゴラ、おめぇら。
仲良く首かしげんな。
「いやいやいや!さくらっち?怒るでないぞぉ〜?」
「アタシらがさくらって気付けるのすっげぇからねぇ〜」
「………別に怒ってないし」
後悔もしてないし。化粧くらいしとけばよかったとか思ってないし!
「いやぁ〜もぉやっべぇから〜」
「「「その格好まじ不審者」」」
「「「「まじダサい」」」」
ああ、もう!!!
「分かってるし!!!そんなこと自分が一番知ってるから!!!」
良いじゃん別に!だって今日日曜日じゃん!もう!!!
「いやぁ〜まさかさくらが手抜きするってやばくね?」
「ノーメイクにメガネとマスク装着で学校来るとかマジやばし~」
「こりゃ〜ウチら以外じゃさくらっちて気付けないよ〜ぎゃはは〜!」
なんでこう言われること予想出来たのに学校来ちゃったんだろ…。