好きにさせて
階段下の広場でぎゃあぎゃあ騒ぐ私たちに新たな嬉声が響いた。
「はい、すとーっぷ」
ふわりと笑い颯爽と現れたのは、コトハだった。
な、なんで…。
言い合いをしていたわたしたちは静まり他の生徒は現れたコトハへ喜びの声をあげている。
「もう、それくらいにしてあげて」
「何よ、コトハ邪魔」
わたしの前まで来たコトハは言い合いをしていた友人を隔てるように立つ。
「はあ…せっかく来てやったのにその態度はねーだろ」
「お呼びじゃない」
ギィっとコトハを見上げてわたしは睨みを効かせた。だけどコトハはわたしの頭をガシッと掴むと下を向かせるように押さえつける。
「咲来が言ってること、聞いてあげて。こいつは本当に大丈夫だから。なんかごめんね」
見てなくてもコトハが友人たちにふわっと笑ってるのが声だけで想像できる。
そしてあいつらには効果抜群だろうな、声も失ってるよ。
「…つーか、手何すんだ」
どけろよ、首が痛い。
「じゃ、みんなにお礼言って」
「なんでよ、やだ」
「だめ」
「ムリ」
すっと、頭からコトハの手をはなして顔をあげる。
「……………あり、がと。」
なんかいたたまれなくなる。
「ほら!言ったからな!」
「はいはい、よく出来ましたー」
…腹立つわ。何なのコイツ。
その後はコトハに引かれるようにしてわたしは体育館から抜け出した。