好きにさせて




ほとんど人通りのない旧校舎のほうの渡り廊下へわたしたちは来ていた。



「……っ」



モヤモヤする、何だろうこの感じ。



制服姿だけど上はパーカーというラフな格好のコトハを後ろから睨みつける。




「…いつまで不機嫌やってるつもり?」



コトハが振り向いてわたしに声をかけてきたのでわたしは下を向く。



わたしが柱に寄りかかると、コトハも隣に寄りかかった。



「…あれで良かったんだろ?」

「……」



コトハの声でわたしは息が詰まりそうになる。ずっと何も言わないわたしにコトハは帰ろうとはせず、ただ隣にいてくれる。




「…なんで学校来たの」


「おまえが勝手に学校行くからだよ」



…だってコトハ家にいなかったじゃん。それにすぐ帰るつもりだったし。



……全部、知られたんだよね?見られたんだよね?あれを…コトハに。


ツンとなる鼻に、顔に力を入れる。




「バレンタイン外出て良かったの?」


「よくない」



「だろうね、チョコは?」




体育館に来たってことは校内を歩いたって事だよね?女子にたくさん声かけられたんだろうなぁ。


冷えた空気が体の奥深くまで入っていくような気がした。マスクをしていても取り込まれる空気は冷たい。




「貰ってないよ、一つも」


「は!?うそ!?」



驚きで、ガバッと隣のコトハのほうへ顔を向ける。



いやいやいやいや!あのコトハ様だよ?貰ってないはずないでしょ!!


「嘘じゃねーよ」



細い白金の前髪がコトハの目元を隠す、表情って人の目を見ないと読み取れないもんだな。



「一体どうやって来たの」







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