好きにさせて
「空飛んできた」
「バカにしてんのか」
人間が空飛べないことくらいわたしにも分かるぞ。
「…彼女いるって断った」
………え?い、いま…なんて?
目を丸くしてコトハの顔を見れば、揺れた前髪からコトハの瞳が見えた。
ゾクッとした、同時にドンッと心に重く衝撃を受ける感覚が私を襲った。
「…か、彼女って」
「さーな」
そう言うとコトハは遠くの空を見るように天を仰いだ。
だめだ、呼吸の仕方が分からなくなる。
そりゃそうだ、コトハに彼女…。
コトハだって人間だ、男子高校生だ。それくらい何もおかしくない。わたしだって恋愛をしてたんだから、コトハがわたしの知らないところで彼女のひとりやふたり…いたところで当然だ。
なのに、なんで……。
わたしはこんなにもショックを受けているんだろう。自分で自分が分からない。