好きにさせて
「咲来、」
「な、に…」
コトハの色っぽい落ち着いた声がわたしの名前を呼んで、一瞬にしてわたしの身体はピクリと怯む。
コトハのこういう能力、苦手だ。
一瞬で空気を変えてしまう。
コトハを見上げると、細い金の糸が目元を再び隠していた。キラキラと輝いて揺れる。
「行くか」
「……へ?」
コトハはわたしに背を向けて歩き出した。
……なんだよそれ。
身体が痺れたようにドクンとして
さっきから変だわたし。
ぺちっと両手で頬を包む。
ああ、やばい。
「…熱っ」
不思議な感覚の体をなんとか動かし、わたしはコトハの背中を追う。