母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
「へ~、そうだったんだ。
それで、寮は食事がなかったから、
Ashと一緒に、寮を出たんだね」

 私がそう言うと、寧子はまた、にやっと、
中年のおじさんのような笑いを見せた。

「いま、何考えてるか、当てようか?」

 寧子は、中年のおじさんの笑顔のまま、
私に聞いてきた。

「いいよ、どうせ当たってるから」

 その時には、どうせ隠したって寧子には
バレてると思っていたから、素直に、

「一緒に住もうかと、思ったんだよ」

 と言った。
寧子は、少し不満そうに、

「なんで自分から言っちゃうの~」

と、少しほっぺをふくらませながら、
楽しみを奪われた子供のように、
不満を言った。

 でも顔はすぐに、いやらしいおじさんの
笑い顔に戻って、

「けどね、残念。
次のルームメイトは決まってるんでした」

と、私の反応を確かめるように言った。

 私は、あからさまにがっかりして、

「なんだ、そうなんだ」

そう短く答えると、 寧子は、そこで
初めて少女の顔に戻って、満足そうに、
クスクス笑い出した。

「やられた!」

 またしても私は、寧子の手のひらの上で、
かる~く、転がされていたわけだ。

 私は、呆れ顔で寧子に言った。

「どうしてあんたってそうなの?」

 するっと、心から出た言葉。

「だって、紗季って、ほんと、面白いから」

〈そりゃ、私をからかう時のあんたの顔を
みてれば、良く分かるよ〉

 ま、からかわれてもしょうが無い。
今回はそれだけの、大ニュースには違いない。

 すぐに私は、次のルームメイトが気になった。

「それで、今度のルームメイトは、どんな人?
まさか女じゃないよね?」

 前回の事があるから、今度は先に
聞いておこうと思った。
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