母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 Golden Dragonの看板が見えてきた瞬間、
あさひは、

 「・・・」

 無言。

 あれ?わかってないのかな?
確かに、外観は真っ赤で、どう見ても中華。
だから、さんざん日本食って言ってたから、
まさか。あれが日本食だってわからない
可能性もあるよね。

 そしたら、先にヤマさんが、

「あそこに真っ赤な看板みえるだろ?
あれだって」

 それを聞いてあさひは、

「わかるよ、見えてる」

 
 ん?わかってたの?
それで、その無反応?
それって、感情がないの?

 三人とも、

「こいつ、感情ないのか?」

 それが、共通の意見だった。
なんで、寧子が

「ねえ、あれみて笑えないの?
か、せめて驚くとかないわけ?」

 って、聞いたら、

「ん、ああ、予想通りだったから、
とくに、感動はないな」

 だって!
なんて、つまらないやつ!
ヤマさんも、

「おまえは、相変わらず、
つまらないやつだなー。
 しかたがないから、今度シアトルに、
寿司食いに行こう」

 って、言った。
私は、ヤマさんの意外な言葉に、

「え?シアトルでお寿司食べられるの?」
 って、聞いたら、

「ああ、ちゃんと日本人がやってる、
普通の寿司屋だよ」

 そしたら寧子、

「へー、そうなんだ。
行ってみたーい!」

 って、大喜び。

 でも、あさひはそんなみんなの会話をよそに、
ずーっと窓の外を見ていた。
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