オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
それからしばらくして、“政弘さん”はシャワーを借りようとしたのだが、泊まるとは言ったものの、愛美の部屋には着替えも何も置いていない事に気付いた。

普段から使用している使い捨てのコンタクトレンズの予備はないが、幸い鞄の中に、もしもの時のための眼鏡は入っている。

「いつものじゃないけど一応眼鏡はあるし、明日一度家に戻って着替えるよ。車も会社の駐車場に置いてきたから取りに行って、それから買い物に行こう。」

「でも…今夜の着替えはないですね。」

「しょうがないね。とりあえずスーツ脱いでシャワー浴びたい。」

愛美は脱衣所の引き出しから取り出したバスタオルを“政弘さん”に渡し、部屋に戻った。


(政弘さんが急に泊まるって言うとは思わなかった…。)

帰り際になるといつも、このまま一緒にいて欲しいと思ってはいたけど、実際急にそうなると準備が何もないから困るんだなと、愛美は苦笑いを浮かべた。

(そのうちこの部屋に着替えとか置いたりするようになるのかな?)

前に付き合っていたヒモ男が突然姿を消して、もう戻って来ないと待つのをやめてから、この部屋にあるのは自分の物だけだ。

付き合い始めてから今まで“政弘さん”が泊まった事は一度もなかったし、この部屋に自分の物を置くような事はしなかった。

(そりゃ私もそれなりに男の人と付き合って来たし、泊めたり一緒に暮らしたりもしたけど…なんでだろう、変な感じ…って言うか、なんかちょっと緊張する…。)

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