青と口笛に寄せられて


テンションただ下がりの目で啓さんを恨めしそうに睨んでいると、彼の手袋をしていない手が私の頭に伸びてきた。
反射的に目をつむる。


髪の毛を、くしゃくしゃと撫でられた。


ビックリして目を開けると、啓さんが笑っていた。


「次はちゃんといい人見つけろよ。良かったな、犬ゾリに出会えて。嫌なことなんて忘れちゃえよ、な?」


おおおおおおおおおおおおおお。
いかんいかんいかんいかんいかんいかん。


いかん!!


とりあえず笑顔を見せておいて、息を止める。
私の異常な様子には全く気づかない啓さんが、犬たちのトレーニングを始めようと背を向けた。
その瞬間、ブハッと息を吐いた。


いかん。
ものすごくときめいてしまった。
さっき思わず思ってしまった。


良かったです、あなたに会えて。
とか思ってしまったーーーーーーー!!


恋愛自粛中でしょ、私〜!!





ほら、このシチュエーションがいけないんだと思うの。


ダイヤモンドダストが当たり前のこの土地で。
雪かきが日課のこの土地で。
夕日のオレンジとのコントラストが美しいこの時間帯で。


犬と犬ゾリをこよなく愛して、優しくてあったかい表情を浮かべる人。
口は悪いけど、真面目な人。
口笛が上手な人。
青い瞳が印象的な人。
それなのに、北海道弁がしっくりくる人。


認めたくはないけれど、私はこの人が気になっている。


どうしようーーー。










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