正義の味方に愛された魔女1
うぇっ………キモイって、こういう次元だったのね。

これはかなり……。



自分の世界に完全に埋もれている人。

精神鑑定書があっちの方に置かれているだろう。

自分は神だ!

って叫ぶかも……。



取り敢えず握手を試みる。



が、私が出した左手はそのまま握られることはなく、元あった膝に戻された。



ならば今度は
静かに彼のとなりに椅子を移動して隣に座った。



そっと肩に手をおいて世間話をする。



一秒、二秒………。

捜査の協力ならなるべくたくさんの心を視たい。

最低五秒くらい触れ続けたいところだった。

が……。

四秒………「ぎゃー!うぉー!あー!!」
奇声を発した男に
突然、襲いかかられてしまった。



奇しくも荒川さんに抱きしめられた時と、さほど変わらない体勢。

なのに、こうも違うとは。



キモイ!本当にキモイ!



あぁ、でもこの人の事、根こそぎ、わかっちゃった……。

犯行動機も現場も凶器もそのあとも
他の事も…今までの家庭環境とか…。

うわぁグロい。

吐きそう。気持ち悪い。



あ………。

優しい腕が延びてきて、羽根布団みたいに、ほわっと抱き寄せられた。



《ギリギリまで頑張らせてごめん、もういいよ。

あとは報告してもらって終わり》







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