お願いだから、つかまえて
友理奈ちゃんは鼻をフンッと鳴らした。
「甘い! あれは気になってるとかじゃなくて、ロックオンしてるんです。見てればわかります。」
仕事に追われて参っているのかと思えば、案外そんなことにも目を配っていて、余裕じゃないか…
そんなことを思ったのまで見透かされたんだろうか?
友理奈ちゃんはため息をついた。
「…理紗さんは、他人に興味ないですもんね。」
「いや、けしてそんなことは…」
「感じはいいけど、ドライですよ。虫除けしようにも、虫にすら気づかないし。」
…虫にすら気づかない…
四つも年下の女の子にここまで言われるなんて。
私はガックリと肩を落とした。
「…あと、この際だから言いますけど。」
「はい…」
「理紗さんだって陰で人気ありますからね。矢田さんと別れないかなって言ってる人わりといますよ。」
「そんなバカな…」
「そんな綺麗な顔して何言ってるんですか? 理紗さん、内面は地味ですけど、見た目でいうと結構人目をひくんですよ。自覚したほうがいいですよ、社内恋愛続けるなら。」
「な、内面は地味…」
返す言葉もない。なんか似たようなことを修吾に言われたことがあるような気がする。
「ていうか、さっさと結婚したらどうなんですか?」
「いや、まあ。しようとは…」
「早くしてください。」
ヒヤヒヤするから。
友理奈ちゃんは口を尖らすけれど、そんなこと言ったって。プロポーズ、されないし。
そんな危ない橋を渡っているつもりも、ないし。
「うーん…」
なんか色々、ピンと来ない。
「戻りましょう。あのいけすかない女が待ってます。」
「私には普通の可愛い女の子に見えるんですが…」
「甘い!」
また叱られた。