お願いだから、つかまえて

なんだかもやもやしたまま、数日が過ぎた。

修吾は相変わらず二人の時は甘えてくるし、長戸さんのなの字も出してこない。

一応、注意して長戸さんの様子を伺ったり、修吾の態度に気を張ってみたり、してはみたけれど。

私には何も見つけられないし、片付けても片付けても仕事が降ってくるので、もう色恋沙汰とかは面倒くさいなというのが正直なところだった。

当事者が何を言ってるんですか?
と、友理奈ちゃんにはしらーっとした目で言われたけど…

ああ、忙しいけど、なんかぱーっと飲みたい!!

私はデスクに上半身を投げ出したその時、タイミングよくスマホが鳴った。

「理紗〜、今晩、拓哉くんとご飯食べるんだけど、よかったら来ない? 店がね、結構理紗んちに近いと思うんだよね…」

さすが香苗、さすが親友。

「行くっ!!」
「え、なんで前のめりなの? 理紗らしくもない…」
「もーちょーど飲みたい気分なのよーう。」
「へー? じゃ、とりあえず場所送っとくね。あたし達7時頃から居るから、来れる時に来てね。」
「りょーーかい!」

よし、急にテンション上がってきた。
気づけば、今日は金曜じゃないか。
もうできるとこまで終わらせて、あとは月曜に回そう。もういいや。また週明けからがんばろう。

『香苗と飲みに行くから、今晩は行かないね』

修吾に一応ラインを入れておく。
別に約束をしていたわけじゃないけど、週末は修吾の家に行くことが多いから。

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