僕らが守るから
新しい学校

転校

油島さんと西名さんに
真実を話た翌月曜日。

兄さんは今日から僕と
同じ学校に通うのです。

前の学校は強制とは言え
退学したことになっているので
もう一度通うことはできません。

この家からも遠いですし……

『今日から一緒に登校できますね』

兄さんはこの家に来てから
少し性格が丸くなった気がします(笑)

『そうだな』


無事に職員室に行けたでしょうか?

僕達家族には少し心を開いてくれましたが
お父さん以外の大人の男性と
話すのは怖いのではないかと心配です。

「徹也、おはよう」

読書仲間の南都芽君が
挨拶してくれました。

『おはようございます』

南都芽君と話していると
クラスでは仲がいい悠真君が
元気よく扉を開けて入って来ました。

「徹也・南都芽おはようさん」

『悠真君、おはようございます』

少しすると先生が
来たので席につきました。

+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

「徹也、お客さん」

昼休み、南都芽君に言われ
廊下に出ると
兄さんがいました。

『兄さん、いらっしゃいです』

二人は僕の台詞に吃驚したようです。

「「兄さん!?」」

正確に実兄ではありませんからね。

驚くのも仕方ありません(苦笑)

兄弟になって日が浅いですからね。

『徹也がお世話になってます』

兄さんがニッコリと笑いました。

秋鹿家に来てから兄さんは
長かった前髪をピン留めで
留めるようになり目を見て
話せるよいになりました。

もとが整っているので
笑うと半端ない破壊力があるのです。

案の定、友人二人は
頬を赤くして目を逸らしています。

「こちらこそ、
徹也にはお世話になってます」

お昼ご飯は
四人で食べることになりました。

『転校初日はどうですか?』

嫌な思いなどしていないでしょうか……?

『友達が出来た』

おや、早いですね。

『お昼はその方と
食べなくてよかったんですか?』

友人ができたのなら
昼食をご一緒しなくて
よかったのでしょうか?

『大丈夫だ。

ご飯は徹也達と食べて
昼休み中にクラスに戻る』

兄さんなら大丈夫ですかね(苦笑)

『わかりました』

二人に僕達が義兄弟になった
経緯を話すと
泣き出してしまいました(苦笑)

まぁ、想定内ですけどね。

この感情豊かな二人なら
泣いてしまうだろうことは
わかっていました。

とくに、読書仲間の南都芽君は
涙脆いので、悲しい話や
寂しい話に弱いのです。

『お二人とも、
そんなに泣いては
目が腫れてしまいますよ』

午後の授業は
後二時間分ありますからね。

もっとも、
六時間目は自習ですが(笑)

二人を宥めながら
時計に目をやると
お昼休みが半分程過ぎていました。

『兄さん、そろそろ
教室に戻られないと
新しくできたご友人と
話す暇がなくなってしまいますよ』

放課後に残ってお話する
ということもありでしょが
やはり、お昼休みとは違いますからね。

『そうだな。

じゃぁ、教室に戻るな』

『はい』
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