恋のお試し期間
お付き合い、始めます。


お試し期間を経て、過去のことで色々とあったけれど。

晴れて佐伯と正式な恋人同士になった。

といっても特に変化なく。

何時ものように平日は会社へ行き帰りに少しだけ店に立ち寄って
コーヒーとお菓子をもらい家に帰ってから彼と電話する日々。

「こらこら里真ちゃん危ないでしょ。じっとしてる」
「自分で取れますからー」
「いいの。俺が取りたいんだから。ほら。目薬さすよ」
「はい」

そして休みはデート。

今日は佐伯の部屋に遊びに来た。
慣れたつもりでもやはり緊張する。のに何故か目にゴミ。
化粧は取れるが目を洗おうと立ち上がったら優しくソファに戻される。
ドジっ子アピールするような年でもないのに。でも彼は優しい。
ティッシュと目薬で優しくふき取ってくれた。

「はい取れた。ちょっと赤くなっちゃったけどごめんね」
「そんなのいいんです。ありがとう慶吾さん」
「じゃあ、里真ちゃん頑張ったからご褒美に」
「何か買ってくれるんですか?」
「買って欲しい?」
「冗談ですよ。私だって働いてますほしいものは自分で買えます」

里真は笑いながら彼に淹れて貰ったお茶を飲む。
佐伯はその隣に座り。

「……あのさ、里真」
「はい?」
「前も似たような事聞いたけどさ。里真は仕事好き?」
「そう、ですね。好きです。なんて偉そうに言いながら失敗ばっかりしてますけど」

営業に回されて矢田に怒られながら影でフォローされながら。
もう嫌だと思うこともあるけどそれでも何とか喰らいついている。
仕事はお金の為と割り切ってたはずなのにこのまま負けたくない!なんて
熱い気持ちが自分にあるなんて思わなかった。あの人のおかげなのだろうか。

「そっか」
「それがどうかしました?」
「お金の為だけに仕事してるならもう別にしなくてもいいなじゃないかって思ってさ」
「は?」
「ずっと無理してるみたいだったから。帰りも遅いしね。だから考えてたんだ。
小さい店だけど君を養うだけの金はあるんだし、もういいんじゃないかって」
「へ?」
「仕事辞めて俺と暮らそうって言いたかったんだけど」
「…け、…慶吾さんと…暮らす!?」

ってそれは同棲するということ?

でもさらっと「養う」とか言ってたし。
仕事を辞めて同棲するなんて聞いた事ない。寿退社なら分かるけど。
里真はコップを持ったまま顔を赤らめて体が固まってしまう。



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