龍神のとりこ
6.森へ
コハクとトーコは鬱蒼と繁った森にいた。

コハクはわずかに残っている龍神の力で、トーコと自分の身なりを頑丈な物に変えていた。
白い布を被ったようだったトーコの服は、ケープ付きの身体を覆った服に、コハクは戦士のような服に変わっていた。

「どこへ向かっているの?」
まだ太陽が高い時間のはずなのに、深い緑のため、日差しが薄く感じられる。
「もう1人の龍神のところだ。」
目の前を歩くコハク。

「仲間なの?助けてくれるの?」
「・・さぁな。」

はぐらかすコハク、答えるつもりがないようだった。

ぷわん、と甘い匂いが鼻をかすめた。

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