龍神のとりこ
「月の光で見える。」

「きれいだね。」
「ああ、、」

コハクの声がより優しさを含んだように聞こえた。肩を抱かれているので、なんとなく、、そっと見上げると、コハクの瞳はやっぱり穏やかに見えた。

よかった、トーコは安堵した。
『邪魔だったんだろう』そう言って遠くを見つめるコハクの横顔が、痛そうに見えたから。




ぱちぱち、火の粉が飛ぶ。

コハクが焚き火に小枝を足す。

「今この世界に、龍神は俺ともう1人いる。」
コハクは話し始めた。
きれいな顔立ちに焚き火の炎が影を濃く映している。


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