龍神のとりこ
コハクは首だけで振り返った。
まだ紅かった瞳が更に濃くなった。
トーコを傷つけられた怒りで龍神としての力がさらに戻ってきているようだった。

「。。ぅるさい。。っ」

「コハク、龍神のお前に必要なのは、ぅ、、。」
ジンはよろよろと立ち上がる。

「はぁ、私、、」
声がかすれていた。

「あ、ああ!?そん、、な、、」
やっと立ち上がったのはしわしわの老婆だった。
真っ白の髪に弾力を失くして皺の寄った肌、
腰は少し曲がり、一回り小さくなっているようだった。

「それが本当の姿か。俺は随分眠っていたようだ。」
老婆はへたりこんだ。

「違う!こんな、、こんな姿は私ではないっ!!そんな、、」
しゃがれた声で嗚咽する老婆に背を向けようとした。

「コハク、お前さえ私を受け入れれば!」
老婆の姿になったジンがどうにか立ち上がり、こちらに手のひらをかざそうとする。


「シオウの元へ、、帰れっ!」
老婆へと突風が吹きつけた。
ジンの叫ぶ声は突風にかき消されたようだった。

コハクは顔を前へ戻した。

「ジン、これ以上俺たちに構うな。もしまたトーコに手を出したら、、その時はーーー」


「『その時は』なんだ?トーコとはその女のことか?」
不気味なほど地に響くような声がした。
トーコが震え始めた。
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