龍神のとりこ
「私を喰っておまえが望むように若さを保てばいい。おまえにちょっと生気を吸われたぐらいじゃ俺は死なん。」

見開いた目がシオウを見上げた。



いつもそばにいた。
それで充分だと思っていた。
愛しさも伝わるものだとーーーー。


「俺はそのままのおまえが愛しい。どれだけ時が過ぎようと。。」




ジンの瞳が潤み、溢れた涙がこぼれ落ちた。
眉を困ったようにはの字に下げ、とまどったような表情。

そうだ、私が初めて下界に降りた時、一人きりで不安そうにしていたジンを見初めたんだ。。

今と同じような表情をしていたか、、



ジンの涙はあとからあとから溢れ止まらない。

「泣くな。おまえが泣くと私は困る。」


シオウの熱いくちびるがジンの溢れる涙を吸い取っていく。


「シオウ、、、」

ジンも腕を開き、龍神の厚い胸にぴたりと顔を埋めた。

いつもいつも包み込んでくれていた、逞しく精悍なこの身体。この龍神はいつも私のすぐそばに居てくれた、、

ジンも思い出していた。


いつも二人でいたのに、

それがあまりに近すぎて、

愛しいということを忘れていた。。





伝えないとわからない、、

愛しいのだと伝えないとわからない、、





ジンの瞳が甘く見上げてくる。

そこにはしっかりとシオウの姿が映し出されていた。










< 77 / 139 >

この作品をシェア

pagetop