あなたのヒロインではないけれど
まさか……そんなに心配をかけていたなんて。それだけ周りが見えていなかった自分の幼さに、呆れてため息しか出ない。
「ごめんなさい……お姉ちゃん」
「ううん、こっちこそごめんね。あんたももういい年の大人なのに、余計なことだよね。
いつまでも子ども扱いして……本当に、ダメな姉だわ」
ふふ、と自虐的な笑いをした姉は。でも、と声音を変えた。
「実はね、あんたが休みの時にSS社にも話を聞きにいったの……その時居合わせた氷上さんって人が、あんたのことを話してくれた」
「……氷上さんが?」
「うん。すごくよく褒めてた……あんたにマンションのカギを渡して猫の世話やご飯の世話をしてもらってる……って正直に話してくれたよ。
“恋人なの?”って訊いたら……違うとは否定したけど」
姉の話は当たり前で、本当に今さらな確認にしかならなかった。
「そうだよ……だって……氷上さんは皐月先輩……SS社の御曹司だったから……彼はゆみ先輩のことしか……今でも……これからも」
ポロリ、と涙がこぼれ落ちる。肩を震わせて泣く私を、姉はギュッと抱きしめてくれた。
「いいから……最後まで聞きなさい。
いい? 氷上さんは確かに恋人でないと認めたけど……こうも言ったよ。
“彼女が居てくれてよかったと思います。とても……安心してほっとできるんです。彼女のそばはとても居心地がいい。だからついつい甘えてしまうんです。申し訳なく思いますが……なるべくそばにいてほしいと思います。そのうちきちんと結論を出したいと思いますからしばらく待っていてください”……って」