あなたのヒロインではないけれど
……氷上さんが。
彼が、そんなことをお姉ちゃんに?
「嘘……嘘だ。だって彼は……」
「あんたのことだから、ちゃんと相手の話を聞いてないんでしょう? どうせダメでも……一度はぶつかってみたら?後悔をしないために」
お姉ちゃんの言葉はもっともだ。普通なら勇気を振り絞って告白して……それでダメなら諦める。それが恋の結末だろうけど。
私は……意気地無しな私は、首を横に振るしかなかった。
「……氷上さんがそれだけ私のことを言ってくれた……それだけで十分だよ。
だけど……このままじゃダメ。私は甘ったれで流されて楽に生きてきた。もっと大人になって……成長しないと。誰とでもダメになる気がする。
だから……氷上さんでなくても……ダメなの」
「そっか」
お姉ちゃんは私の頭を撫でると、立ち上がって肩をポンと叩いた。
「やっぱりあんたはあたしら兄弟じゃ一番芯が強いわ! お母さん似だね。あんたがそう決めたならあたしは応援するよ。とことん頑張ってきなさい!」
「……うん!」
ゴシゴシと涙を拭った私は、晴れ晴れとした気持ちでお姉ちゃんに笑いかけた。