蝉鳴く季節に…
「水谷自身が気付いていない、力は必ずあるんだよ。私なんかがって言うけどさ?俺は水谷はかわいいって思うし、話してて面白いって思うよ?」







―――――はいっ?!





「――嘘っ!絶対嘘だよっ!」

「嘘じゃないよ」

「かわいいとか面白いとかっ!そんなっ!そんなの違うって!」






焦る私がおかしかったのか、杉山くんは吹き出して笑う。







「あははは!水谷、めっさ顔赤い」

「杉山くんが変な事言うからっ」

「正直に言っただけなんだけどなぁ」






嘘つく様な計算してないよ、と杉山くんは笑った。







「水谷、自分を褒めて貰った時、今みたいにいつも、嘘って言ってんの?」

「う……多分…言ってるかも」




だって……そんなの…自分でも思わない事を他人が思ってくれる訳ないじゃない…。





ダメだなぁと、杉山くんはふざけてるみたいに軽く顔をしかめてる。







そんな………だってさぁ……。








「じゃあさ、俺がまず、そこから変われる一言を教えてやるよ」







変われる一言?








「今日から、自分を褒めて貰ったら“ありがとう”と言おう」



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