透明少女
「和真!」
名前を呼ばれた和真はちらりと澄真を見て歩いてきた。
「呼んだ?」
「えっと和真は夏休み忙しいのかなって・・・」
「遊べる日とかある・・・?」
恐る恐る聞いてみる。和真になら、「受験生なんだし勉強したら?」という正論を言われそうで怖いのである。
「・・・まぁ、無くもない。」
和真は少し下を向いて呟いた。これは和真が照れた時のくせ。
「よっしゃあ!じゃあ4人で遊べるな!」
「あたしプール行きたいなー!」
「まって、いろは泳げないんじゃなかったか?」
「うぅ・・・。」
「大丈夫だって!」


そうして、夏休みの計画を立てるため4人で下校した。少し遠回りになるけどほとんど家の方向は一緒である。

大きな木が日差しを遮って、木陰をつくる。夏の風がさぁっと通し抜けてとても爽やかな午後だ。
なんとなく前にいろはと澄真、後ろに愛奈と和真の2列で歩いていた。

爽やかな風が通るたび、澄真の 柔らかそうな髪の毛が揺れる。

少年みたいな優しい笑顔。でも肩とか背中は広くて男らしい。

気づいたらいろはの目は、澄真を追っていて。
いつの間にかその笑顔に「恋」をしていた。
でもいろはは「恋」に気づかなかったのだ。
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