俺と結婚しろよ!
出された料理は案の定、とてもとても素敵なものだった。
ただのビーフシチューとハンバーグなのに、彩り豊かで美味しそうで。
それで、どことなく可愛い。
どちらかというとがっしりして男らしい賢ちゃんが作ったとは、とうてい思えないものだった。
そして……
「美味しい……」
思わず頬がほころんでしまう。
口の中でとろける牛肉。
たくさんの野菜が入ってそうな、優しい口どけ。
ハンバーグは肉汁がぽたぽたと落ちた。
「仕込みから頑張ったんだぜ?」
得意げに言う賢ちゃんに、
「何時間かかったの?」
その答えに、
「煮ている時間も合わせたら、六時間ちょい」
信じられないことを言う。
「まぁ、火にかけて慎吾の漫画読んでたけど」
「はぁ!?」
あたしは思わず顔を強張らせた。