俺と結婚しろよ!










出された料理は案の定、とてもとても素敵なものだった。

ただのビーフシチューとハンバーグなのに、彩り豊かで美味しそうで。

それで、どことなく可愛い。

どちらかというとがっしりして男らしい賢ちゃんが作ったとは、とうてい思えないものだった。





そして……





「美味しい……」




思わず頬がほころんでしまう。



口の中でとろける牛肉。

たくさんの野菜が入ってそうな、優しい口どけ。

ハンバーグは肉汁がぽたぽたと落ちた。






「仕込みから頑張ったんだぜ?」



得意げに言う賢ちゃんに、



「何時間かかったの?」



その答えに、



「煮ている時間も合わせたら、六時間ちょい」



信じられないことを言う。



「まぁ、火にかけて慎吾の漫画読んでたけど」



「はぁ!?」




あたしは思わず顔を強張らせた。




< 132 / 451 >

この作品をシェア

pagetop