俺と結婚しろよ!
思わずぽかーんとして、前菜を見た。
Fのくせに……
Fのくせに!!
「……と、かっこつけるのはこのまでで、
今日は咲良の希望のビーフシチューとハンバーグな」
そう言って、コンロのスイッチを付けた。
「咲良、美味しいメシ食べたいって言ったよな。
今のうちにポイント稼がねぇと」
「何のポイント?
ドラッグストアとかの?」
はてなが飛んだあたしを見て、賢ちゃんは少し困った顔をする。
「咲良。
お前、滅茶苦茶鈍いって言われねぇ?」
「はぁ?失礼な!」
何が鈍いのかも分からない。
あたしは訳の分からない賢ちゃんを睨む。
だけど……
下を向いて料理を作る賢ちゃんは、やっぱりかっこよくて。
そして、テレビや雑誌で見る玄と同じ顔をしていて。
胸の高鳴りが抑えられない。
あたし……
すっごい贅沢なことしてるよね。
だって、玄の手料理だよ?