俺と結婚しろよ!
あたしはじっと賢ちゃんを見る。
いつもの賢ちゃん。
あたしの大好きな、お馬鹿でお調子者の賢ちゃん。
だけど……
今日はあの大きなアリーナをファンで埋めたんだ。
本当は、すごいすごい人。
何だかそれが、信じられない。
あたしたちの間に、沈黙が訪れる。
何を言ったらいいんだろう。
どう言葉にしたらいいんだろう。
こんなにもドキドキして、破裂しそうなのに。
どうやらあたしは、泣きそうな真っ赤な顔で賢ちゃんを見ていたらしい。
「おいっ!
泣くことねぇだろ!!」
焦った賢ちゃんが、身を乗り出してあたしの手を掴む。
ドクン……
例外なく胸が甘くときめいた。