俺と結婚しろよ!
あたしの手を握る、大きくて優しい手。
やっぱりサポーターが巻いてあって、痣が出来たりしている。
「この手なんだ……」
あたしは賢ちゃんの手を握ったまま、こぼしていた。
賢ちゃんは怪訝な顔であたしを見る。
「この手で、あのすごいライブをするんだ。
かっこよくて、心をぐいぐい掴まれて、虜にさせられるんだ」
「咲良……」
賢ちゃんはあたしの手を、優しく握り返す。
「やっぱり敵わない。
素敵すぎて……
賢ちゃん、すごく遠いところに行ってしまったみたいだった」