俺と結婚しろよ!
あたしは車から降りようとドアに手をかける。
そんなあたしを引き止めるように、優弥さんが静かに言った。
「確かに賢一は遊んできた。
女関係はユルかった。
でも、最近は違った」
「え?」
「アイツ、咲良ちゃんに会ってから変わったぞ?
俺たち三人がキモいって言うほど」
優弥さんの言葉が、グサグサ心に刺さる。
これから賢ちゃんにとどめを刺そうとしているのに、惑わせるのは止めて欲しい。
それでも、優弥さんは容赦なく続ける。
「賢一が人を本気で好きになったの、初めてだろう」
「……」
「咲良ちゃんも分かるだろ?
賢一、マジで咲良ちゃんに惚れていた」
やばい……
涙出そうだよ。
あたし、まだ賢ちゃんのことを忘れられない。
そんなことを言われると、ぐらぐら揺れる。