俺と結婚しろよ!








あたしは、優弥さんの後ろについて、建物の中に入った。

入ってすぐに分かった。

コンクリート造りのこの建物は、スタジオだということに。

エレベーターに乗る前、微かにギターの音が聞こえた。

優弥さんがプロデュースするアーティストは、ここで練習しているのかもしれない。




それにしても、お洒落で立派なスタジオだ。

白を基調とした、清潔な内装。

一等地の狭いスペースを、最大限有効利用した間取り。

優弥さんや、このスタジオを作った人はさすがだ。

……なんてのんきなことは、考えられなかった。




ドキドキドキドキ……



鼓動が速くなる。

身体が震えた。

出来ることなら、この場から消えてしまいたい。

だけど、そんなことが許されるはずもなく。

祈る気持ちも虚しく、エレベーターは四階に着いた。




< 331 / 451 >

この作品をシェア

pagetop