俺と結婚しろよ!
あたしは、優弥さんの後ろについて、建物の中に入った。
入ってすぐに分かった。
コンクリート造りのこの建物は、スタジオだということに。
エレベーターに乗る前、微かにギターの音が聞こえた。
優弥さんがプロデュースするアーティストは、ここで練習しているのかもしれない。
それにしても、お洒落で立派なスタジオだ。
白を基調とした、清潔な内装。
一等地の狭いスペースを、最大限有効利用した間取り。
優弥さんや、このスタジオを作った人はさすがだ。
……なんてのんきなことは、考えられなかった。
ドキドキドキドキ……
鼓動が速くなる。
身体が震えた。
出来ることなら、この場から消えてしまいたい。
だけど、そんなことが許されるはずもなく。
祈る気持ちも虚しく、エレベーターは四階に着いた。