俺と結婚しろよ!
その時……
「やっぱり無理だ!」
吹っ切れたような賢ちゃんの声が聞こえ、思わず振り返った。
酷く小さく見えた賢ちゃんは、今やいつもの賢ちゃんになっていて。
立ったまま、まっすぐあたしを見ていた。
強い意思のある瞳だった。
「俺は諦められねぇ。
咲良と離れるとか、ありえねぇ」
急に何が起こったんだろう。
賢ちゃん、開き直ったの?
扉の前で、賢ちゃんを見て狼狽えるあたし。
賢ちゃんはズカズカとまっすぐ、あたしに歩み寄る。
そして、あたしの手をぎゅっと握った。