俺と結婚しろよ!
「そういえばさ、賢ちゃんのドラムってどのくらい凄いの?」
あたしは悠真に聞く。
凄い凄いと分かっていても、あたしにはその本当の凄さが分からない。
だからドラムの悠真に聞くのだ。
「そうだな……」
悠真は宙を見上げて言う。
「俺にとっちゃ、神の領域だな」
神の領域……か。
「安定しているのはもちろん。
機械みたいに狂いがねぇ。
それでいて柔軟で、トラブルにも瞬時に対応出来る。
あんなドラムがいたら、メンバーも安心して演奏出来るだろうな。
それと……」
「それとそれと!?」
夢中になって聞くあたしを、やっぱり悠真は少し困ったような顔で見る。
それでもあたしは悠真に言葉を促した。
だって、悠真だってFのファンだから。
一緒にFを目指して頑張ってきたんだから!