甘いささやきは社長室で



右手にはボールペンを、左手には報告書を持ち、デスクの上の用紙になにかをガリガリと書いては頭をひねりながらぐりぐりと塗りつぶし、書いては悩みを繰り返す。



書類、書いてる?

ひとりで頭を悩ませ、何度も何度も下書きを書いて……そんな姿は、ただただ意外に思えた。



書類から感じる彼女は、いつも完璧に思えていた。

けれど、その完璧さは、遅くまで残りひとり頭を抱えて悩む、彼女の努力の上に成り立っているものなのだと知った。



……意外すぎる。

そんな彼女のことを、もっと知りたい。



完璧以外の顔が見たいとか、予想外のことが起きたらどんな顔をするのだろうかとか、思ってしまった。

初めてだった。誰かを知りたいと、興味を持ったこと自体が。





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