甘いささやきは社長室で
『【報告書、総務課・真弓絵里】……』
報告書一枚を見ても、丁寧な字で、誤字脱字などひとつもない。文書の内容も完璧で、凛々しい彼女のイメージ通りの仕事の出来だ。
すごいな。うちの社員にこんな人がいたとは。
今まで気づかなかったけど、ほかの仕事の出来も見て、結果次第ではもっと上の立場に勧めてもいいかもしれない。
そんなことを考えていたある日の夜。業務の都合で遅くなった帰りに、三木に用があって下のフロアに立ち寄った。
けれど案の定三木を始めほとんどの社員は帰宅していた。
その中で、フロアがひとつだけ電気がついていることに気づいた。
『総務課……誰か残ってるのかな』
そう、こそっと覗き込んでみたフロアには、ひとり黙々とデスクに向かう彼女の姿があった。