甘いささやきは社長室で





『今夜は真弓さんをお借りします』



そのひと言とともに、ご丁寧に今いる場所の地図までつけられていた、三木からのメール。

それらから察するのは、三木がなんらかの思いを持って、今彼女といるということ。



触れられたら、なんて想像をするだけでいてもたってもいられず、足はひたすら駆けていく。



タクシーなんて、待っていられない。

どう伝えようか、そう思うばかりでまだ決まってなんていない。

だけど、考えている暇はない。



今は、ただひたすらに。その腕を引き留めたい。



その一心で、夜の街を駆け抜けた。







< 164 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop