甘いささやきは社長室で
「っ~……検討中です!」
「慎重だねぇ」
恥ずかしさから顔を背けて誤魔化す私に、彼はその返事も予想通りと言わんばかりにけらけらと笑った。
余裕の笑みの彼と、翻弄されてばかりの自分。
からかわれているようで少し悔しいけれど、これがいつもの光景で、そんな彼に安心すら感じてしまう。
「まぁ、頷いてくれるまで何度だって言うけどね」
そう言って、祐輔さんはそっと唇にキスをした。
優しく触れて、一度離れて、もう一度重ねる唇は、その愛情をしっかりと伝えてくれる。
それに応えるように彼の背中へ腕を回せば、彼の指先は撫でるように素肌に触れた。
深く深く、重なる体。
合間に与えられる甘い言葉とキスに、身も心も溶けてしまいそうになる。
そして、心の底から想うんだ。あなたになら、私の全てをあげてもいいって。
どの感情も、きっと今までの自分では知ることの出来なかった想い。
彼とだからこそ、知るのことの出来た想い。
そう思ったら、いっそう幸せは込み上げて。
「どうしたの?いきなり笑ったりして」
「……いえ、別に」
こぼした笑みに不思議そうな顔をしながら、彼はまた口付けてくれるから。
幸せだと、思うんだ。
そんな幸せが、この先の未来にもずっと続いている。
それを誓うように、輝く指輪が薬指にはめられていることに気付くのは、あと数時間後。
彼と迎える朝のこと。
end.


