甘いささやきは社長室で



「……けどまぁ、絵理がそこまでするくらい好きでいてくれるなら、もう少し我慢もしてみようかな」



そして私の体をゆっくりとソファに押し倒すと、いつもの余裕たっぷりの笑みを浮かべてみせた。



「どうせ結婚しちゃえば、嫌でも関係を公にしなきゃいけないわけだし」

「え!?」

「『結婚した』となれば周囲も僕のことを『秘書に手は出したけど真剣だったんだ』とわかってくれるだろうし……うんうん、ハッピーエンドだねぇ」



『結婚』、その言葉に赤くなる私の顔を見て、その表情はいっそうおかしそうに笑う。



「で?この前のプロポーズの返事はいつ聞かせてくれるのかな?」



そう、それは先日、取引先のパーティに行った際に彼から告げられたプロポーズに対してのもの。



『桐生絵理になりませんか』



その問いかけに、自分の中できっと答えは決まってる。

望んでいた安定のない日々でも、きっと彼となら大丈夫。あなたとなら、どんな時も手を取っていけると、感じられるから。



だけど、先ほどのキスでありったけの勇気を振り絞ってしまった私は、やっぱりそこまで素直にはなれず……。


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