あなただけを、愛してる。



「……わかってる、つもりですよ。」


「え?」



「今までだってそうだったんです。社長が私と付き合うことができないことなんてわかってました。それでも…それでもいいって、あなたに抱かれていたのは私なんですもん。」



彼女の言葉に衝撃を受けた。



まっすぐな瞳で俺をとらえたまま何も言わない俺の頬に右手を添えた彼女。



「好きって、言ってもらえるだけでうれしい。」



「唯子…」



唯子の言葉は本当にうれしかった。


でも同時に、彼女を俺のものにできない悔しさが一層強くなった。



これで、いいのだろうか。


彼女がこんなにも俺を想ってくれているのに、彼女のことが大切で仕方がないのに。


俺の一存で彼女のことを縛り付けて、彼女の自由を奪ってしまっている。


それでいて、付き合うことは、できないなんて。





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