無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 鈴木は決済を待つ文書の中から、特に問題のないとされるものについては電子決裁のまま残し、

 重要と思われるものについては印刷し要所要所にメモ書きを加えて常務に渡す。


 時には決済を通す時間的余裕のない案件が、直接鈴木に回ってくることもあるり、そういった物もこの書類の中に入っている。



 その時、中でも特に難しい案件は束の最初か最後にもってくるのが常だ。


 西園寺常務は念のため一番上にある書類と一番下にある書類にざっと目を通したが、

 どちらもさほど頭を悩ます案件ではなかった。



そのことに満足したように常務はニヤリと口元を歪める。

「それは何より」


 受け取った時よりも幾分軽く感じる紙の束をストッとデスクの上に置いた西園寺常務は、


 クルッと椅子を回して席を立った。



「書類が少ないお祝いに、君に珈琲を淹れてあげる」 


「それはどうも、ありがとうございます」

 鈴木はごく真面目にそう答えた。
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