無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
 勤務時間は時に曖昧ではあるが、メイドにも休みはある。

 青木家のスケジュールに合わせて休みを入れるので、来客が多い休日よりも予定のない平日に休むことが多いが、それについては特に問題はなかった。

 幸い親友の陽菜乃は休みが不規則な仕事についている。
 なので、こうして平日に会うことにも支障がない。


「きゃあ かわいい!」


 思わずそう言ってユキが指をさしたのは、赤い紙でラッピングされた小さな包みだ。


「ほんとだ!

 これなんて美味しそう!
 自分用に買っちゃおうかな」 


 アハハ


 ディスプレイに飾られたチョコレートたちは、花になったりオレンジピールとひとつになったり、どれもこれも華やかにデコレーションされている。

 いつも見かけるものとはちょっと違っていて、見ているだけで特別な思いに胸がときめくものばかりだ。



「バレンタインかー」

 少し前まで正月モードで賑わっていた街は、打って変わってバレンタイン限定の文字が躍っていた。

 次から次へと購買意欲を掻き立てることに余念がない店も、それを楽しむ人々も、
 ハートが飛び交うイベントに活気づいている。
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