無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 グルグルと同じことが頭の中を駆け回り、

モヤモヤと胸の奥で渦巻くものが文字を打つ手を鈍らせる。


 忙しくないというのが第一の理由ではあるが、

やる気を無くした集中力は胡坐をかいたままそっぽを向き、

そんな鈴木を嘲笑っているかのようだ。



 そのまましばらく画面の中の文書を見つめていた鈴木は、

あきらめたように画面を閉じた。


「……」


 秘書室はガラス張りであるが、

各々はある程度の高さのあるパーテーションで囲まれているので手元は見えにくい。


 その中でも後ろが壁になっている鈴木の席は、彼の頭が微かに見えるだけなので、

すぐ近くに行かない限り、彼が何をしているのかは誰にもわからなかった。



 おもむろにスマートフォンを取り出した鈴木は、

先程から頭の中を独占しているアネモネからのメールを開いた。
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