無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 このなんとも言えない不愉快な感情は、どこにどう捨てたらすっきりとするのだろう。


 こんな思いをするなら、いっそのこと己が手で手折ってしまえばよかったか?

 ふとそんなことを思い、鈴木は呆れたように左右に首を振った。



 あの日、自分がとった行動の動因となったものはなにか。


 彼女を守ってあげよう、そう思ったことに嘘はない。

酔いながらも凛とし続けた彼女に敬意を表して、自らも清廉潔白な紳士を演じてみせた。


 でもそれが全てではない。

 保身だ。


 事件に巻き込まれたくはないという

――ひいては西園寺のためでもあるが――

 万が一、事が明るみになった時のことまで見越しての、結局は保身によるものである。



 彼女が恐れるように、自分もまた世間を恐れている。
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