無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

  ***



 遡ること、前の晩……



 『Bijou』でユキからの返事を受け取った鈴木は、ため息をついていた。



――彼女らしいな……



 会ったこともないネットの友人の男と、

そう易々と会うことを了解するほうがおかしいのだ。



 それでこそ彼女だ。

 うん…… それでいい。


 鈴木はざわつく胸を振り切るように、少し哀しげな笑みを口元に浮かべた。




 酒の力を借りて送った今夜のメールたち。


 断ってほしいと理性が訴え、

 会いたいと感情が訴え、

 矛盾した二つの想いが先を競いあうように心を乱していたが、結局はフラれたことで決着がついた。
< 193 / 316 >

この作品をシェア

pagetop