無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 すぐ隣を通り過ぎてゆく彼女、ユキを振り返ることも出来ずに、

代わりに目にした交差点のスクリーン。


 映し出されていたのはバレンタインのキャッチコピーだった。



 Only you are seen.

  …… あなたしか見えない





「あー 憂鬱だ憂鬱だ」

 掲げるように書類を持ち、ソファに埋もれるように座っている西園寺常務はそう言いながら、組んだ足をゆらゆらと揺らす。


「? お休み中になにかありましたか?」


「いいや

 君が全身で憂鬱だと訴えているんでね

 こっちまで憂鬱になる」
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