無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「……」

 ギロリと鈴木を睨んだ常務は、スッと上体を起こし


「ねえ、君さ まさかと思うけど

 まさか恋なんてしてないよね?」


 テーブルの向こうから覗きこむように鈴木を伺った。



「こい?」



「恋だよ恋 LOVE、 amour


 愛だの恋だのなんていう不確かなモノを求め始めたら人間終わりだよ

 わかっているよね?

 君はね、頭はいいけどそういうあやふやなものに対して弱いから」



 その後も常務はうんざりしたような顔をして、ブツブツと苦情を言い続けた。




「恋なんてしていませんよ

 ただ、自分の思い通りにならない事がありましてね

 ふがいなさに憤っているだけです

 ということで、気を取り直してこの書類についてよろしいでしょうか」



 疑わしそうにもう一度鈴木を睨んだ常務は、溜め息をつきながら書類を手に持った。
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