無垢なメイドはクールな彼に溺愛される


  ***



 次の日、西園寺常務と一緒に客先に向かうべくエレベーターを下りながら、

「今日はいくらかすっきりしたみたいだね」

 常務はそう言って、安心とも呆れたともとれる視線を鈴木に向けた。


「はい 昨日ゆっくり休ませて頂きましたので

 ご心配おかけして申し訳ありませんでした」


 いつまでもプライベートを引き摺っていては、あまりに情けない。

 いつかユキの前に出ることもあるだろう。

 その日、ニッコリと微笑みかけることが出来るよう未練な気持ちを『Ciel』に置いてきたのである。



 エレベーターを下り、ロビーを進むと車の前に崎田が立っているのが見えた。


 崎田を見た途端、不愉快極まりない思いが込み上げたが、ここは堪えるしかない。

 それでも本当なら殴りたいくらいの気持ちを隠せず冷たい視線を崎田に向けると、崎田が言った。
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