無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 その頃、鈴木のマンションでは……


「一日お休みなの?」

 と、宙に聞かれて、コクリと頷くユキがいた。


「旦那さまと奥さまは、温泉でゆっくりしてくるとおっしゃって別荘に行かれましたから……」


 恥ずかしそうに頬を染め、ユキはどう座ったらいいのかと戸惑っているらしい。

 明るいリビングには掃除ロボットが困らないように、部屋の割には大きいテレビとほんの少しの家具しかない。

 中央に敷いてある丸いラグの上にはテーブルと、横に広がるローソファーがあるだけだが、

 映画を見ながらそのまま寝てしまうには快適なそのローソファーに、行儀のいいユキは足をどう延ばしたらいいのか悩んでいるようだった。



 クスッ

―― 可愛いな
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