無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
「こんにちは」

「大石さん こんにちは……」


「ユキ、どれがいいかしらね」

「奥さま……」


 パイプハンガーには色とりどりのドレスが並んでいる。

「今ね急いで大石さんに届けてもらったのよ
 ちょっと着てみて」


「あ…… あの」


「招待客の中には社員もいるし、大丈夫だって!」

「――ちょ……ちょっとだけ待ってくださいね」




 とりあえずその場を逃げ出して、母ハルに相談してみると母は、
「そういうパーティでそういう事情ならお引き受けして差し上げなさい」と言う。


「ドレスに合う靴もバッグも持っているでしょ?」


「うん……」


 夫人や真優お嬢さまが持ち歩くような高価なものではないが、数か月前友人の結婚式に参加する時に新調した、細いヒールのパンプスと合わせて買ったクラッチバッグがある。色は応用がきく黒だし問題ないだろうと思われた。


 ニッコリと頷く母に背中を押され、それならばと、ユキは引き受けることした。
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